久田和広が読んだ「たんぽぽのお酒」

読書が大好きな久田和広です。今回紹介する本は、レイ・ブラッドベリの著書「たんぽぽのお酒」です。

SF作家のイメージもあるレイ・ブラッドベリですが、このお話は半自伝でもあるファンタジー小説ですね。

夏が来る前にこれを読んでおこう!と思った理由として、12歳の少年のひと夏をえがいた作品だからです。

架空の町でもある、「グリーン・タウン」を舞台に、少年の成長や孤独などが表現されているのですが、

詩的というか叙情的というか、文章や言葉選びがとても美しかったですね。

少年時代にしか経験することのできない、キラキラとしたものや、生きること、死ぬことと向き合っていくのですが、

久田和広自身の少年時代の夏の朝を彷彿とさせられました。

今考えると怖いものが当時は怖くなかったり、今は怖くないものが当時は怖かったり、

少年時代にしか見えなかったものがたくさんあったな、と、ノスタルジックに浸ることが出来ました。

「たんぽぽのお酒」を作るというのが、グリーン・タウンの儀式でもあるのですが、

この本のタイトルにまず惹かれて読み始めたようなものなので、たんぽぽのお酒を作るシーンが特に好きです。

本の書き出しが夏の始まりなのですが、その描写も素晴らしかったです。夏の匂いがするというか、情景が目に浮かぶようでしたね。

話の終わりで夏が終わる、というのもとてもよくまとまっていました。

最初から最後まで、夏とノスタルジック、という印象の強い本でしたが、

読んだ人と好きな部分を語って、好きなシーンを出し合いたいなとも思える本でした。

本の虫、久田和広の読書ブログ

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