久田和広が読んだ「悪魔が来りて笛を吹く」
読書が大好きな久田和広です。今回紹介する本は、横溝正史さんの著書「悪魔が来りて笛を吹く」です。
昭和22年、世間をにぎわした「天銀堂事件」の容疑を受け失踪し、自殺されたと見られる椿英輔の娘・美禰子が金田一耕助の元を訪れた。
「父はこれ以上の屈辱、不名誉に耐えていくことは出来ないのだ。由緒ある椿の家名も、これが暴露されると、泥沼のなかへ落ちてしまう。ああ、悪魔が来りて笛を吹く。」と書かれた遺書を持参した美禰子は、母が父らしい人物を目撃したと怯えていることから、父が本当に生きているのかどうか砂占いで確かめることになったと説明し、金田一にその砂占いへの同席を依頼する。そして計画停電を利用した砂占いの席で、停電終了と同時に椿英輔の遺作「悪魔が来りて笛を吹く」の演奏がどこからか響く。
鍵となる「悪魔が来りて笛を吹く」という曲ですが、実際に聞いていないものの、強弱の表現であったり、『メロディーのなかには、たしかに一種異様なところがあった。それは音階のヒズミともいうべきもので、どこか調子の狂ったところがあった。そしてそのことが、この呪いと憎しみの気にみちみちたメロディーを、いっそうもの狂わしく恐ろしいものにしているのである。』と本文中にもありますが、それがおそらく犯人を示すものであり、また、この異様な感じで完成されていることが一層不気味に思えました。このような曲なのかな、と想像力がかき立てられます。
横溝正史氏の作品には昭和のおどろおどろしさがあり、この不気味な感じが人気なのだと思います。怖かったですね。何度か映像化されていますが観たいような観たくないような…
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