久田和広が読んだ「オーデュボンの祈り」
読書が大好きな久田和広です。今回紹介する物語は、伊坂幸太郎の推理小説「オーデュボンの祈り」です。
コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島だという。そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、未来を予知するというカカシ「優午」だった。しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのか。「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫っていく。
伊坂幸太郎氏のデビュー作です。当時は無名であったため、単行本(ハードカバー)は現在絶版になっています。
文庫化するにあたって単行本から150ページほど削除されており、単行本はファンの間で高値で取引されています。
「オーデュボン」はアメリカの鳥類研究家兼画家で、彼にとって「リョコウバト」は心が安らぐ存在でした。
しかしリョコウバトは人間の乱獲によって絶滅へと向かいます。
案山子の優午は、未来が見える力を通してリョコウバトを守ろうとします。
案山子なので自分では行動できない、オーデュボンの意志を継いで祈っていたのではないでしょうか。案山子はリョコウバトを守るために、長い間島の人を外に出さなかったのではないかとも思いました。
「この島には、大切なものが最初から欠けている」という言い伝え、各キャラの不可解な行動など、散りばめられた伏線の回収は見事でした。
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