久田和広が読んだ「殺しの双曲線」
読書が大好きな久田和広です。今回紹介する物語は西村京太郎の「殺しの双曲線」です。
長編推理小説です。著者が自選ベスト5に選出しているほどの自信作です。
東京で、連続強盗事件が発生した。被害者たちの証言から、小柴兄弟のうちどちらかの犯行であることは確定したが、2人は一卵性双生児のためあまりに似ていて、どちらの犯行であるか特定できないため、警察は逮捕できずにいた。
一方、宮城県のホテルの主人から突然招待状が送られてきた戸部京子は、婚約者と一緒にスキーを楽しみにやってきていた。同じく招待された他の4人と合流する。
しかし、そのうちの一人が初めから暗く沈んだ顔をしており、翌朝に首を吊って死んでいるのが見つかる。自殺と思われたが、壁には奇妙なメッセージがあった。さらに電話線が切られ、外部との連絡手段が絶たれる。ホテルのボーリング場では10本あったボーリングのピンが1本減っていた。その後、「そして誰もいなくなった」のように一人ずつ何者かに殺されていき、ボーリングのピンも減っていく。
この物語では東京の連続強盗事件と宮城県の連続殺人事件の同時進行で事件が進みました。
著者は冒頭で「この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです」と掲げてメイントリックをあらかじめ明かしていました。なので、これはてっきり東京での強盗事件のことかと思っていましたが…。
「そして誰もいなくなった」を意識して本作を書いたと著者が話していましたが、登場人物が日本人の名前であるせいか妙な臨場感があり、すごく怖かったです。一人ずつ殺されていくし、謎のメッセージがあるし、殺された遺体の顔は判別ができないほどグチャグチャにされていましたし、なぜかピンは減っていくし…。当時はテレビも見ずに夢中になって読みふけりました。この本を読んでからクローズドサークルが怖くて読めなくなりました。
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