久田和広が読んだ「偽造の太陽」
読書が大好きな久田和広です。今回紹介する物語は森村誠一の「偽造の太陽」です。
長編サスペンス小説です。
主人公の北沢勝平は名前に「勝」という文字が入っているのに、これまでの人生は負けてばかり。失業し失意の底にあった北沢は、居酒屋でいつの間にか顔見知りとなっていた赤松に誘われて、同じく赤松に誘われた男・石山と一緒に強盗を計画する。
北沢は強盗と聞いていたが、強盗殺人を起こしてしまい、加担したことになってしまう。
その後3人は完璧な犯行を遂行し、大金を得て、このことは今後一切秘密にし、3人はそれぞれもう会わないと約束した。
この事件以降、北沢は実業家として順風満帆の道を歩んでいた。しかし、強盗殺人を一緒に犯した石山が零落した姿で北沢の前に現れ、北沢の頭上に輝いていたはずの太陽は翳りを濃くしていった。
学生の頃に父親から「読んでみなさい」と手渡された本です。
零落した石山からお金を揺すられたり、北沢の人生が再び堕ちていったため、北沢はずっと赤松が裏で糸を引いているのだと思っていましたが、赤松は最初の強盗殺人の時しか現れません。
読み手の久田和広もどこで赤松が再登場するのかと思っていましたが、一向に現れませんでした。結局最後まで、赤松が裏にいたのか、北沢自身の自滅なのかわからず、何ともいえぬ不気味な感じが残ります。結末が濁されているのですが、それがとても印象に残りました。
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