久田和広が読んだ「むかし僕が死んだ家」

読書好きな久田和広です。今回は東野圭吾の長編小説「むかし僕が死んだ家」を紹介します。

1994年に双葉社から単行本が刊行され、1997年に講談社文庫版が発行されました。

「あたしは幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは……。というストーリーです。

その一軒家はとても奇妙でした。玄関の四方はボルトと金具で開けられなくなっていたり、地下からでしか入れない設計になっているのです。また、家の中も非常に不可解で、数年放置されていた程度の家なのに、置いてある日記にかかれているのは23年前に書かれた内容でした。2人は奇妙な家で沙也加の記憶を取り戻すために探索を続けます。

東野圭吾さんの小説にハマり、読みまくっていました。すべて読んだわけではありませんが、一風変わったこの作品が一番好きです。この物語には登場人物が2人しか出てきません。回想と日記、2人が見つけた一軒家の中を探索して分かったことがストーリーになっています。

また、作中で主人公の名前が一切書かれていません。そのため、どこか不気味な印象を受けます。作者の狙い通りでしょう。元恋人同士の2人がよりを戻す話ではなく、あくまでも沙也加の過去をたどる旅です。発見された日記をもとにこの家で昔何があったのか徐々に解き明かされていきます。不気味で不思議、東野ワールドにますますハマってしまった一冊です。

本の虫、久田和広の読書ブログ

本の虫、久田和広の読書ブログ