久田和広が読んだ「高瀬舟」

読書が大好きな久田和広です。今回は森鴎外の短編小説「高瀬舟」を紹介します。

1916年1月に発表されました。

高瀬舟とは、京都の罪人を遠島に送るために下る高瀬川を行く船のことです。この船に、弟を殺した喜助という男が乗せられたところから物語は始まります。護送役の同心(現在の警察にあたる役職)である羽田庄兵衛は、罪人である喜助が見るからに晴れやかな表情をしていることを不審に思い、理由を訪ねます。

ここまでがあらすじなのですが、古い作品なので結末と共に感想を述べたいと思います。この喜助という男は、病気を苦にした弟に頼まれて弟を殺した罪人でした。両親を亡くし兄弟二人だけで生きてきましたが、弟は病弱で喜助が一生懸命働き世話をしていました。しかし、何もできずに迷惑をかけるだけならと、弟は自分で命を断とうとしました。喜助はその場に偶然居合わせ、死にきれずにいた弟に頼まれのどに刺さった剃刀を抜いた、というのが真実でした。

これまでの苦労を思えば島流しなどなんでもない、お上に居場所を作ってもらい食べさせてもらえるのはありがたい。そう考え、喜助は晴れ晴れとした表情をしていました。

「高瀬舟」は、ある兄弟の悲劇を扱っていながら、安楽死の是非を問う作品でもあります。

最後に、庄兵衛は殺人とは何かを考えます。おそらく読んだ人も一度は考えるでしょう。喜助のしたことはいわば善意の殺人。しかし、殺人は重い罪でもあります。そのジレンマに悩まされながら物語は終わります。

道徳の授業に使えそうな、思いテーマを扱っています。正直なところ久田和広にも答えはわかりません。「高瀬舟」に答えはない、というのが、多くの人の意見かもしれないと思いました。