久田和広が読んだ「蹴りたい背中」
読書が大好きな久田和広です。今回紹介する物語は、綿矢りさの小説「蹴りたい背中」です。
長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとするクラスメートたちに、初実は溶け込むことができないでいた。そんな彼女が、同じくクラスの余り者である、にな川と出会う。彼は、自分が読んでいるファッション雑誌のモデルに、初実が会ったことがあるという話に強い関心を寄せる。にな川の自宅で、初実は中学校時代に奇妙な出会いをした女性がオリチャンという人気モデルであることを知る。にな川はオリチャンにまつわる情報を収集する熱狂的なオリチャンファンであった。
本作品は、第130回(平成15年度下半期) 芥川賞を受賞しました。当時、著者の綿矢さんはとても若く、未成年でした。大変話題になりましたよね。
久田和広も同世代の活躍にうれしくなり、同時に受賞した金原ひとみさんの「蛇にピアス」とともに読みました。
本作はとても読みやすかったのですが、読解力の乏しい久田和広は初めから「???」となりながら読みました。先ほど改めて見直してみたら、久田和広がよくわからなかった初めの数行「さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。細長く、細長く。紙を裂く耳障りな音は、孤独の音を消してくれる。気怠げに見せてくれたりもするしね。葉緑体? オオカナダモ? ハッ。っていうこのスタンス。」で「寂しい」ということを表現していることに気づき(遅い)、未知の才能を感じました。
思春期の高校生の、表現をすることが難しい感情が伝わる作品だと思います。
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